旅行医学はどういうものですか?

「旅先で具合が悪くなったらどうしよう」と思うことはありませんか? 旅行医学(渡航医学)は旅行の際に病気になることを防ぐ(予防)と病気になったらどうするかについてカウンセリングや対策を講じる分野です。
近年は旅行により健康増進を目指すことも含むことがあります。

具体的には次のようなことが挙げられます。
これらの費用は保険適応にならず自費診療となりますのでご承知ください。

  • 感染症予防(ワクチン接種、予防薬の服用)
  • 疾病予防(高山病、旅行者下痢症、熱射病、減圧症などの予防)
  • 現在お持ちの病気の対策(使用薬や携帯する器材の海外持ち出しの証明)
  • 診断書、証明書の作成

海外渡航向け予防接種

数日経っても当院からの返信がない場合には次のアドレス宛てに電子メールで次の内容をお送りください

  • お名前
  • 連絡先電話番号
  • 相談したい内容

問合せメールアドレス  toiawase@mirai-clinic.net

渡航先により推奨されるワクチンが異なります
検疫所のウェブサイトで概略を確認してください

詳しくはバナーをクリック

よくあるお問い合わせの例

アメリカへの留学

  • ポリオワクチン:受け入れ先での条件を確認してください
  • 三種混合ワクチン:日本の定期接種の回数は不足とされる場合がありますので確認が必要です
  • A型肝炎、B型肝炎:改めて3回接種を求められる場合は6ヶ月必要です
  • 髄膜炎菌ワクチン:当院でも接種可能です
  • ワクチン接種証明書:作成可能です。事前にご相談ください。

アジア地域への渡航

  • 狂犬病ワクチン:最短で3週が必要です
  • 腸チフスワクチン:国内承認製剤が存在しないため、海外の製剤TyphimViを用意しています
  • A型肝炎、B型肝炎ワクチン:3回接種を求められる場合は6ヶ月必要ですが、4週2回で出発される方も多いです

小児への接種

  • 定期予防接種で、接種可能なものは全て受けてください
  • A型肝炎ワクチン:1才以上が推奨ですが、1才未満でも接種可能です
  • 狂犬病ワクチン:全年齢で接種可能です
  • 腸チフス:2才以上が対象です

狂犬病ワクチンを接種すべきでしょうか?

接種を推奨します

曝露前接種(通常の予防接種)

理由:発症した場合の死亡率が著しく高いため

  • 狂犬病の発生がない国・地域(清浄国)は全世界でも日本、台湾、シンガポール、ハワイ、太平洋島嶼国、英国、オーストラリアなど少数です
  • 狂犬病ウイルスを保有する動物はイヌ、コウモリ、ネコ、キツネ、マングースなど幅が広いです
  • 動物に触れることが多いようであれば接種を奨めます
  • ゾウも狂犬病を発症しますが、咬むことがないためヒトに感染させる可能性は小さいと推定します
    (以前に渡航予定の6才男児から質問があり調べてみました)

詳しくは国立国際医療研究センター病院のサイトを参考にしてください

曝露後接種(海外で、咬まれた後の発症予防)

  • 狂犬病は、発症後にはほとんど全員が死亡する感染症です
  • 狂犬病ウイルスは、ヒトの99%で飼いイヌから感染伝播しています
  • 発症前に狂犬病の感染を診断できる検査法はありません

詳しくは厚労省のサイトを参考にしてください

日本国内で承認されているワクチンはラビピュール、海外ではChiroRabとして流通してます。この製剤の接種を受けた場合には、ラビピュールでその継続が可能です。

海外の現地でVerorab、Speedaなどの接種を受けた場合には当院ではこれら製剤のご用意ができません。健康保険での治療のため、当院での治療の場合は原則的にラビピュールでのやり直しを行っています。

日本国内で飼育されているイヌ、ネコ、コウモリ、キツネ等に咬まれた場合には曝露後接種は不要と考えます。
これは、1957年以後国内感染例がヒトおよび動物共に報告されていないためです。
2000年代の狂犬病発症例は海外で動物に咬まれ日本で発症したものです。

当クリニックで取り扱うワクチン

輸入ワクチン(国内未承認製剤)は次表のものを取り扱っています。

ワクチン名説明取り扱いの有無
腸チフスワクチン
DUKORAL®
2回の内服。
前後1時間は絶飲食が必要です。
常備あります
A型・B型肝炎混合ワクチン
Twinrix®
2種のワクチンがcombineされており、抗体獲得率も高いとされます。海外では広く使われており、渡航先で追加接種を受けやすいです。
3回接種(初回、7日目、28日目)
→12か月後の接種で10年以上の維持
常備あります
腸チフスワクチン
TyphimVi®
国内承認ワクチンで類似製剤はありません。
2歳以上で接種できます。
常備あります
A型肝炎
Havrix®
1回の接種で2週後には十分な抗体が獲得できます。
→12か月後の接種で10年以上の維持
常備あります
成人三種混合ワクチン T-dap
Boostrix®
主に百日咳の予防です。留学時、お産の見舞いや手伝いの為に病院に行かれる際に必要なことがあります。現在取り扱いなし
狂犬病
Verorab®
海外でVerorabの接種を受けられた場合に、同じ製剤で追加の接種が可能です。現在取り扱いなし
国内承認製剤のラビピュール(Rabipurと同製剤)で代替します

ダニ媒介性脳炎

2024年9月に国内販売となりました。
マダニに刺されて発症する病気です。ヨーロッパがおおく使われていますが、日本国内でも散見されるようになりましたので販売に至ったとのことです。

製剤名タイコバック
料金16500円
スケジュール(通常)1回目0日目
2回目1から3ヶ月後
3回目2回目から5から12ヶ月後
追加3回目の3年後、以後16才から60才で5年ごと、60歳以上では3年ごと。
スケジュール(急速)1回目0日目
2回目2週間後
3回目2回目から5から12ヶ月後
追加3回目の3年後、以後16才から60才で5年ごと、60歳以上では3年ごと。

狂犬病ワクチン

製剤名ラビピュール
料金17,600円
スケジュール1回目0日目
2回目7日目
3回目21日目もしくは28日目

A型肝炎ワクチン

未接種の方:基本的には3回接種が必要ですが、渡航までの日程の制約で2回接種となることがあります
以前に接種がある方:以前の接種状態によります。ご相談ください。

製剤名エイムゲン
料金7,700円(2025年5月1日から8,250円に改定します)
スケジュール1回目
2回目1回目から2週から4週後
3回目1回目から24週後

B型肝炎ワクチン

未接種の方:基本的には3回接種が必要ですが、渡航までの日程の制約で2回接種となることがあります
以前に接種がある方:以前の接種状態によります。ご相談ください

製剤名ビームゲン
料金6,600円
スケジュール1回目
2回目1回目から4週後
3回目1回目から20週から24週後

破傷風トキソイド

25歳くらいまでの方:小児定期予防接種が完遂できている方は不要と考えます
※三種混合ワクチン、二種混合ワクチンに破傷風トキソイドが含まれています

30歳くらい以上の方:破傷風トキソイドを10年以上接種していない方は最初からのやり直しと考えてください

製剤名破傷風トキソイド
料金4,400円
スケジュール1回目
2回目1回目から3週~8週後
3回目1回目から1年~1.5年後

日本脳炎ワクチン

1980年以前の方は抗体が少ない方が多いですので、小児定期予防接種が完遂できていても1回接種を検討してください
2005年以降の定期予防接種の積極的勧奨の差し控えの影響もありえますので、母子手帳を確認してください

三種混合ワクチン

国内承認製剤のトリビック(DPT)を使用しています

※海外で頻用されるTdap(製品名BOOSTRIX®)の取り扱いを終了しました。

その他のワクチン

ポリオワクチン
髄膜炎菌ワクチン

高山病予防

マチュピチュやエベレストなど、高地への旅行や登山の前に「ダイアモックス(高山病予防薬)」の処方を希望される方が増えています。
当院では院内処方でダイアモックスをお渡ししています。

ただし、現在服用中のお薬との組み合わせによっては、使用を避けた方がよい場合もあります。診察時に医師が確認しますので、来院時には服用中の薬がわかるもの(お薬手帳など)をお持ちください。

スムーズな診察のために
診察当日は、問診票と同意書をご記入のうえご持参いただくと受付がスムーズです。
以下から事前にダウンロードできます。

費用
診察と処方を合わせて5,500円(税込)です。

ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

英文診断書・証明書

料金(消費税別途)
当院で接種したワクチンの内容無料(当院書式に限る)
他院で接種したワクチンの内容5,000円
※内容が複雑な場合は要相談
抗体検査結果(他院実施分も可)
※検査結果の原本を持参してください
1項目あたり1500円
※内容が複雑な場合は要相談
スペイン、フィジーへの留学時に必要な診断書5,000円
※各大使館規定のものに限る
英文証明書、診断書(簡易なもの)5,000円
※内容が複雑な場合は要相談

予防接種の内容や抗体検査結果の証明については事前にメールでご相談いただけますとスムースです。画像で母子手帳の予防接種欄等をお送りいただけると助かります。